ウイリアム占星術童話はあくまで童話ですので、文中に占星術の説明は入りませんが、なんとなく占星術のあのことを言ってるんだろうな~、って文章を書きますので、占星術的解釈は読者の方々でご自由にしてくださいね~
占星術童話第三話 「かにとさそりの物語」
かにさんは仲間とはぐれ、傷を負っていました。
すごく深い傷で、ひとりでエサもとれない状況でした。
そんな時、通りすがりのさそりさんがかにさんを見かねて、エサをおすそ分けしてくれました。
さそりさんのおかげでなんとか生きながらえることができたかにさん。
かにさんは仲間とはぐれ傷を負ってしまったことをいろいろとさそりさんに話しました。
さそりさんはさそりさんで、自分はすごく孤独なんだ、という話をしました。
ふたりはその日、一晩中語り明かしました。
一晩だけでなく、三日三晩語り明かしました。
かにさんもさそりさんも、すごく充実した時間を過ごしました。
かにさんは仲間とはぐれたことも忘れました。
さそりさんは孤独を忘れました。
しかし、かにさんの傷は深く、苦しさが増していくばかりです。
「さそりさん、あなたのしっぽの先の針で私を刺して、私を殺して楽にしてくれませんか?」
かにさんはあまりの苦しさにさそりさんに頼みました。
「かにさん、そんなことは言わずに頑張りましょう」
さそりさんはかにさんをなんとか勇気づけようとします。
ところが、かにさんの容態は良くならず、苦しさはずっと続きます。
その苦しむかにさんを見兼ねたさそりさんは、ついに自分の毒針でかにさんを刺しました。
安らかに死を迎えたかにさん。
かにさんの死を見守ったあと、さそりさんも密かに生き絶えました。
さそりさんは毒針を使うと自分も死んでしまう体質だったのです。
それを知った上でかにさんを刺したさそりさん。
ふたりは隣同士に安らかな死につきました。
その後。
かにさんは山羊に生まれ変わり、さそりさんは牡牛に生まれ変わり、来世で仲良く暮らしたとか。
おわり
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かにとさそりの物語
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